存じません/笹子ゆら
シンボルたちを壊すのは骨が折れるだろう
知らない合間に出来上がった偶像に思い込みで愛を歌うのだ
皆がそうであるならと小さな世間だけで身の回りを固めてゆくのは余りにも簡単だから
きっと何も分からないまま
反旗を翻すのを見逃すな
見つけたら消してしまえばいいのだと甘言が耳元をくすぐるから
保身ばかりが生きる糧になりつつあるのも知らん顔のままで笑っている
その触れられない柔らかさにかまけているかのように
噫、なんてつまらないシンポジウムなのだろう!
「存じません」
「何もかも」
「……あなたのお達しの通り」
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