手を翳す不安/アラガイs
 

雨乞いをする鈴虫の鳴き声は鉛筆の芯を削るようだ
次第〃に薄らいでゆく窓
ちいさな発動機の音が近づいて来る
予定はまったくないのに、朝刊のもぐり込む音にまたドキリとしてしまう
時計の針は5時を指し、今日も僕は起きていた 。

胸にマルチーズを抱いたワンピース婦人の肩はひかり、タクシー運転手との会話が気にかかる。
騒音に消された昼
(夜)町の静けさに子供たちは声を殺した 。
この辺りでいつも苛苛しているのは家(うち)だけだろう 。
朝から苛苛していると、何故か警察官によく出会う
とにかくお金を拾ったことが無い 、最近では特に(そう思う 。

「目覚めれば
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