少年少女探歌/本木はじめ
目隠しを解けば少年少女さえ忘れてひらく玉手箱かな
花々の死滅の時間みつばちが少女の胸に飛び込んでゆく
少年が少女とふたり脱線す冷たい朝の折れた遮断機
難解な迷路を辿る少年が少女の問いに戸惑うように
明日とは花も芽吹かぬ枯れ野にて少年少女が掘り出す死体
少年と少女はいずれ滅びゆく国の廃墟の不滅の野ばら
かまいたち薬を塗り忘れてゆくあなたのなかにも少女の痕が
雨宿り廃屋前の少年と少女を目にした画家の青空
少年の磁石も狂う黒き森かすかに未生の我が子の幻聴
落とし水少年少女がしゃがみ込む近づく冬に気づかないまま
団栗をひろう少女がいましたねひとりほほえむ故郷の道
自転車に少年少女ふたり乗り世界の果てから世界の果てへ
限りなき問いの扉はそのままに少年駆ける少女を求めよ
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