夕暮れに/夜雨
 
 夕暮れのとあるひとときに
 猥雑な風ふと浄化され
 街ゆけば影は晴朗に澄みわたり
 君の頬に紅の西陽染まりゆく

 かつて君は語った
 玲瓏な風佇む宵のこと
 清澄な空薄く張りつめて
 長庚(ゆうづつ)の瞬きになお危うく張りつめて
 君は息潜め待っていたと

 刻々に深まりゆく星夜を見上げ
 無限の兆しに歩みを失ない
 凍てつく体で待っていたと

 君は、闇に浮かぶ真白い依代
 身じろぎも出来ず待っていたのだと

 夕暮れのとあるひとときに
 かつて君の語ったように
 見よ、浄化された風
 今しも冷たく佇みゆく
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