まばたきはシャッターで/mizunomadoka
 
今日はずっと雨だった
鵲は傘のまま
駐輪場の紫陽花をみていた
「中に入ってればよかったのに」
「さっきまで遠野さんが」

手をつないで歩いていると
鵲は「ヒュン」と言って、タンポポを摘んだ
「どうやったの?」
「わからないの」

淋しいですか? 冷たいですか?
防波堤に話しかけた
私の名前は鵲です。昔の鳥と書いてください

家に帰って
鵲にもらった花をグラスにさすと
まだすこし色つきに思えた

雨のまま、花に傘をさして
遠野さんは水滴に指でふれた
「今年は色づきが悪いね。雨でだいぶ散ってしまったね」
そう言って、灰色に消えた

嵐が近づいてきて
私は防波堤に登った

海鳴りでガラスが震えた
僕は窓の外をみた

「誰?」
「一枚の写真」




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