とむらいの逸話/シホ.N
式もひととおり終わり
厳粛な空気も抜けて
片付け始められた斎場の一隅では
親戚連中がくつろいでおしゃべりしているところで
ちょうど叔母さんが
うちのおじいさんがガンで死んだ時は・・・
というような話をしている
ところが
すでに荼毘に付されたはずが
何かの手違いがあったらしく
まだ残っていた死体が
背中を痒がって
半ばもがくようにしながら
半ばは面白そうにして
ごろごろこちらへ転がってくるのだが
皆知らんぷりして話を続けていて
死体は
「誰がガンで死んだって?」
と興味深げに聞いたが
皆話を続けていて誰
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