猫について。/吉澤 未来
から昼間の君は妙に僕にやさしかった
猫
君は夜に思い焦がれて
夜に心を惑わせ奪われ
顔を埋めて狼に変った
猫
僕は夜におびえている君の声が
怖かった
あんなに優しい君だったのに
あんなに怖い声で
泣き叫んでいたよね
自分自身への孤独を支えて
猫
君は永遠の夜の底で
雨のしずくを飲んで
泣いていた
いつもいつも
泣いていた
朝になると
ケロッとした顔で
僕にあいさつしてくれた
僕は
君のその姿を見て
あの時ふと
君は必死で生きているんだって
そう思った
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