モグラの花びら/合耕
手鏡を持つと みんな照らしてしまう
その柵の際から
聞き取りやすい匂いで 呼びかけた
蘇生術の手ほどき
邪魔くさい枠をどけて
もっと 回そうとした目が少しだけ
後は みんな吹き飛んだ流れになって
誰か一人去れば
屋上のない海岸
私は頭の上
掛けられた油絵から
降ってくる 絵の具の屑が怖くて
泣いていました
ビニールシートをかぶったその下で
ネズミは動かずに 指を組み
何かを持てるようになっても
こちらへ渡さない
だから取り上げて 握った手の中には
モグラ叩き用ハンマー
そこへ降ってくる
戻る 編 削 Point(2)