two of/mizunomadoka
クジラが泳いでる
緑の断崖に大渦が見えた
私ははやく海に入りたくて
恥ずかしがってパーカーを脱がない
彼女のまわりで踊ってた
汗と潮の飛沫が乾いて
キラキラ落ちていく
戻ってこられないくらいに
青い空
扉のついたパラソルが
砂浜に傾いてる
彼女の手をひいて走っていく
思ってたよりもずっと冷たくて
あわてて転んで
悲鳴を上げる
海に入ってしまうと
クジラも大渦も見えない
遠くで揺れるブイを指さして
あそこの島まで泳ごうか? と振り返ると
彼女はあわてて微笑んで
さっきよりも傾いたパラソルに
気付かないフリをした
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