脱皮/あぐり
震えてからすこし
脱皮をしました
ちいさなかたちになって積もっていく
昨日までのわたしでしたそれは
ずっととどまっているそこにいて
爪を磨いているひとの温度は
ちょうど夜を想像したときのものとおなじです
どうしてかね、すこし床がみえないような気がするんだ
今日もわたしがふっていたの
からだがかるくなったみたいで
寝る前の柔軟だとか
寝ているときの呼吸だとか
いってしまえばこうふくの話
しあわせだとわたしたちというものは
居場所を決められないいきものになります
すこしずつ離れていってしまう表皮は
わたしのすべてが煮凝った白い白いそういうものです
ミントガムをおなかにしまいこんだみたいな
かかとを置いていくわたしの
とおくまでいけると思います
脱皮したわたしなら
あなたの床ばかりに積もっていくんでしょう
すきとおって風になって
それでもきっとあなたの部屋のカーテンを揺らす
そういうそういういきものです
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