メロンのしあわせ/草野大悟
 
ホッチャレなんて、かみ砕いてみせます。

ほんとに すきなら
つかまえて
うちゅうがうまれるずっとまえから
ふきつづけている わたし を。


朝陽がさすころ 生首は、わが家のテーブルのうえで
ごろん ごろん と、食べごろを主張するふたつのメロンになっていた。
ふたつは 口を揃えて
     わたしの持ち主は やっぱりあなただったのね
と 恨みがましく嬉しそうに言うけれど、
おれ的には、メロンはふたつもいらないし、
ちょっとばかり困った問題ではあったのだが
一個を食えばいいのだと あっけなく解決し、
残ったひとつを このかぼちゃ頭と交換して、どうやら 今のおれがここにいるのだよ。

メロンのしあわせは はるか うちゅうのかなたに およいでいる  の 
かもしれない。

 



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