対面のテーブル/電灯虫
沸いた。
でも焼け上がる星型クッキーは
オーブン越しに格好よさを膨らませた。
ガラスに跳ね返って写った自分は
ますます拗ねてた。
男同士というのは不思議なもんで
しゃべる間合いをよく計る。
勝手に喋り あっちらこっちらに跳ぶ
母のリズムに慣れていたから余計だ。
大学生に無事になれた頃
家族のムーブメントを作ってた
その母が不在の中
一緒に行くぞと 連れ出された車中では
決まりきった台詞を予め弾くように
外ばかり見ていた。
無言で伸び疲れたドライブの果てで
連れてかれた先は
赤提灯が揺れる 居酒屋だった。
「ノン」と「ノンじゃない」
アルコールビ
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