夏の水葬館/ayano
 
。「みんなと同じ処女がいやだったけど 処女喪失したときは既にみんなと同じ非処女だった 不純だらけで死にたくなった」


殺すものか


首を自由にしてやったら女は涎を垂らした。白百合を一緒に食べた。
「学校でね 机に突っ伏すと胸を揉まれる妄想をして目の前の同じ姿の子の頭上に首吊りの少女を見たりして ああ恋がしたい縁がほしいって思うの」ペラペラとよく喋る女だった。うるさいから電車で犯した。処女だった。女の手を引いて電車を降りた。



明転



女と水族館で葬式を見た
ガラスの向こうで浮かび、死んでも尚あいされる女の子の水葬
声がでない人はガラスを殴り、それを抱きしめる人は笑っていた

死と恋が喪服で隠れるわたしの梅雨
花が枯れまくっても日常に別状はない
自分だけが特別という顔をして オーバーフロー




戻る   Point(8)