多幸症様症状を呈する彼について/士狼(銀)
れたとき
わたしはヘルペスのようだと思いながら
ココア入りの新しいマグを受け取ったのだけれど
彼は火山のようだと言った
火山の噴火に一般人が感知しない過程があるように
きっとその怒りが力として表れるまでに
近くにいる人が地学者のように察してあげられたらいいのに
ねぇだから
君が怒ったらそれは気づけなかったぼくの責任なんだよ、
ってちょっと切なそうに笑った
ああこの人はなんて
なんてばかなお人好しなんだろう
その予兆に気がついたところで観測者にそれを鎮める術などなく
噴火まで騒ぎ立てるより他ないというのに
ああだけどこの人はなんて
なんて
「 」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)