ロボット店員/村上 和
く行くコンビニで
会計をしている時に店員に話しかけられたからだ
とても優しい喋り方をする人だった
(彼はきっと同じ口調で恋人に話しかけたり愚痴や不満を口にしたりするのだろう)
接客の域を超えて話しかけられるのは初めてで
私は少し戸惑いながら曖昧に返事をする
会計と店員とのぎこちない会話を終え
募金箱に数枚の硬貨を落としてコンビニを出る
自動扉が優しく開いた瞬間に
雨上がりと太陽の匂いが混ざってほのかに香った
マイバッグをぶら提げて
帰りの赤信号を待つ間
私が店員に向けて作った笑顔は
(誰かが作ったプログラム通り)
上手く笑えていただろうかと
そればかりが気になっていた
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