しなやかさへの悪意/kiri
 
頑なな人よ
しなやかさへの悪意を持ったのはいつからだっただろう。
それの恣意があまりにも叶うから?どんな虚しさも笑ってしまうから?
それがあまりに無関係に関わってくるから?
放埓に駆け回ることが私へのあてつけでない事が、どんなに関わっている
ようでも彼らは無関係に私たちを置いてけぼりにしていく事が、悪意はただ
私たちにしかなくまた彼らの背中へさえ届かないことが。
頑なな人よ
悪意の石像を動かせ。石になった剣で斬りつけよう。正当な復讐をしよう。

斬れない。どんな悪意の剣もしなやかさを断つことは出来ない。
それを知ったとき私はそこにどんな恣意も持っていなかったという事を、
最も頑なな者でさえ見つけられなかった僅かな痛みをも持っていた事を、
どれだけの愛が引き裂かれながら無関係を引き受けていた事を。
私はそれを許す。私はそれに許される。
戻る   Point(0)