庭師補佐見習いの僕は、少し捻くれた後で元に戻って思うのです。/黒乃 桜
一回もしてない僕だけど
時たま批判めいた事を言っては「まあこれは僕の意見だけどね」
自分が正しいだなんて全然思って無いけど
鳥が鳴いてて。太陽が降り注いで。
水の流れる音が遠くで聞こえて。花が優しい色で咲き誇ってて。
例えばそこの林檎の木の陰から好きな色のワンピースを着たあの子が。
大切なあの子が僕に向かって手を振ったりして。
花壇の周りでしりとりしながら猫と走り回る子ども達。それを見ながら微笑む二人。
僕の手元には本。傍らにチョコレート。
好きな歌をあの子は口遊む。
それで良いんじゃないかな
ただそれで良いんじゃないかなっていう世界を
今日もどこかで誰かが造ってる
それで良いよ それで良いと思うよ
モラトリアムな僕は無責任に
「みんな幸せだったら別に良いよ」と言うよ
僕もそんな世界を造るのを夢見て
今日も小さな段ボール箱に別れを告げるよ
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