つや子が見せてくれた夢/遠山律子
海沿いの観光地を歩いていたら
ごうごうと地面がうなって
おおきいおおきい
地震が来たね
浜焼き屋台のおっちゃんが
津波が来るぞと言う声を聞き
あたしたちは一斉に
高台を目指したんだ
口の中に血の味が広がるくらい
必死になって走っているとき
地面にへたる子犬を見つけた
このままじゃあ
踏みつぶされて死んでしまう
あたしが思ったその刹那
颯爽と現れたつやちゃんが
スーパーマンのように子犬をさらい
人の足の隙を縫うようにして
誰よりも早く高台へと駆けて行った
ああ つやちゃんは
お散歩すらもいやがって
いつも寝てばかりいるくせに
じつはこ
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