さみしいお昼/木屋 亞万
雲ひとつない空
地上ですら風が強い
空ではきっと誰も立っていられない
日陰の空気は金属のつめたさで
無防備になり始めた肌を冷やす
落ちぶれた冬の狂いかけた残酷
昼休みに弁当を
窓に向かって食べる
ひとり
ガラスは温かい陽射しだけを通す
窓が冬から守ってくれる
卵焼きにミートボール
唐揚げとプチトマト
ふりかけはのりたま
弁当の匂いはいつも
心をほっと和ませる
箸を入れると冷たいご飯も
汁にふやかされた唐揚げも
割れたプチトマトも
小さい頃からずっとごちそう
窓のガラスが風に押され
カタカタと枠が揺れる
陽射しがふっと途絶えて
空を見
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