なにがしか/ゆえづ
僕が君を前にして言葉を失ってしまうのは
僕が人見知りする性格だからという理由ばかりではなく
僕を裁くなにがしか
いかにも君がそれを握っているかのようで
握っているかのような君が僕は怖いから
僕は言葉という言葉を奪ってゆく君から
逃がれようとして僕は
そこから終わってしまって
言葉という言葉を片っ端から追い掛けるけれども
覚えたてのあいうえおを発音するだけに丸一日を要すのだ
そしてこれを君に説明するのに僕はその一生を費やすだろう
しかしながら君が納得する事はあり得ないような気もして
あり得ないからこそ好きなんだとも思っているんだ
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