明日への波紋/高梁サトル
会いたいと
朝のしろの中で
不思議な予感とともに目覚めたきみは
羽化して飛び立つ鳥に似た蝶になる
黄金比ばかりでは説明できない世界で
美しいと感じるすべてが
展翅され針で貫かれたものであったとしても
それでも求める
悪趣味だと嫌うあの人の眼に触れないよう
机の引き出しの奥にしまったフリをして
ひらひらと彷徨う
蝶には空と海の境目がない
耐えうる気圧だけを頼りに
花の蜜でなく朝露を探す脆弱さでは何も掴めないと
羽のように思っていた渇いた手足の先に
小石が投げられる
それはすべてを飲み込む津波とは違って
やさしい
波紋
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