子供騙し/光井 新
アロワナが宇宙を飛ぶようにして泳いでいたらしい。
小学四年生の春、僕は生き物係になった。当時密かに想いを寄せていた新井さんに近付きたくて、動物好きの新井さんが生き物係になったものだから、定員二人の内の残り一人に立候補した訳さ。
新井さんはね、ピョンスカンのよく似合う女の子だった。ピョンスカンは、四年二組の教室で飼育していた青いネザーランドドワーフで、新井さんが抱いていると絵になって、僕のジャポニカ自由帳を埋め尽くした。
「明日から夏休みです」という事で、ピョンスカンをどうしましょうという時も、当然のように、新井さんが家に連れて行って世話をする事になった。
僕はといえば、夏休みの間、三
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