シンクロニティ/高梁サトル
 
に毅然として在るあなたの背中を確認しながら
音階を整えてゆく

何も間違ってはいない
わたしたちは善良と悪意のその境目で
絶えず揺れ惑う幻のようなもの
自分を護ることで精一杯の脆弱さを抱え
それでも誰かを慈しみたいと切望している

“うそ”なんて何処にもないのに
どうして探そうとするのか
どうして責めようとするのか
それが原罪であるなら
わたしたちは矛盾に苛まれほろびるべきなのか
生きる為の大義名分
間違ってはいない、のに
どうしてこんなにこころはいたい
すべてではないと理解していても

聞いて
聴いて
理由のない音楽
果てし無い音楽
わたしたちの音楽
差異だけに目を向けず
わたしの中にある
あなたの中にある
シンクロニティを探して

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