空の青さが眩しくて支えきれずに/木屋 亞万
 
雲ひとつない空の青が眩しい
どこに太陽があるのかもわからないくらい
水色がひたひたと目に入ってくる
校長先生と呼べる人がいる場所を遠い昔に離れ
気だるい朝「今日は雲ひとつない晴天です」と
快活に言う人が近くにいなくなってしまった

春が指で触れるところまで来ていたのに
つかみ出すことができず
また元の所へ引っ込んでしまう
指先にまだ花粉の匂いが残っていて
さながら指はミツバチのように
爪は毒のない針となり
袋詰めされたパンを裂いていく

四方を壁に囲まれた場所で
過ごすことが当たり前になって
僕らはあまり空を見なくなった
はるか昔の人類はもっと自由だっただろうに
[次のページ]
戻る   Point(4)