なんでもない孤独/Raise
 
わたしの話はいつも飛びすぎだ、と
言ってくれた人がいた
そうだねとわたしは少し笑って
冷めた紅茶を飲みほした

わたしは自分の話をすることがとても苦手で
話しながら自分の肉体がもつれるのを感じる
それを解くことなんかとても出来ない
たったそれだけの話を 静かに聴いた人がいた

誰もこない日々が続く
誰もこない日々が続く

わたしはもはや身体を言葉にひっかけることなく
一本の短い直線になって台所を浮遊する
わたしの神経や骨 内臓や眼も
同じように一本の直線となる

季節感のない部屋

まるで魔術のように
誰もこない日々が続く
なんでもない日々が続く
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