ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」/アマメ庵
 
ーメンなどは消えうせて、いっそぼくに飢えを与えて欲しい。 
こんな堕落な男は、飢えて痩せるが相応しい。 
しかし、ぼくの僅かな財布の中身でも、一と月は喰える。 
ぼくは、忌々しいカップラーメンを買ってしまう。 
結局、自分が弱いからだ。 
マクドナルドの店員さんは、包帯に気がついて、席までトレイを運んで呉れる。 
左手どうされたんですか、などとは訊かない。 
ごゆっくりどうぞと、親切に言う。 
ありがとう、そう言ってぼくも笑顔をつくる。 
ぼくは、僅かな金と、はしたない欲求のために生かされている。 
ノートパソコンに、ベートーヴェンの曲が記録されていた。 
交響曲
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