画家とハンバーグ/ブルース瀬戸内
 
ユートはすくすくと育ち
ハンバーグばかり食べて
今では立派な男の子です。

ユートは悩んでいました。
画家にだけはなるまいと
決意を思わず絵に描くと
やけに上手く仕上がって
いけるかもと思うのです。

その横で見ていた父親は
ふいに笑みがこぼれます。
好きなことをやりなさい
と、言ってはいるものの、
どうしても笑みが出ます。

かつて父親もそうやって
画家を目指したからです。
祖父と同じ画家にだけは
なるまいと思ったものの
最初で最後と描いた絵が
やけに上手く仕上がって
即、方針転換したのです。

その二人を眺める母親は
なんだか可笑しくなって
二人のハンバーグを皿に
いつもより多くのせます。

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