夜から髭が出るのを待っている/真島正人
いつのことだろう
キミは僕を
夜に招待した
その頃僕は
コミック雑誌片手に
かぁるい気持ちで遊びにいってた
ポッキーを食べたりしながら
屋根の上の
洗濯干し場で
一緒に
月を見上げたりしたね
閉じた夜の向こう側に
見えるのはキミかな
それともあのトラ猫ちゃん
僕はちょっと照れくさいな
歌さえ上手く歌えない
髭なんて本当は
なかったのかもしれないね
全部にせものさ
にせものばかり
そうだったんだと
いいたくなっちゃう
安らかな言葉に
だまされてきたよ
お日様よりも信頼できるものを
教えてもらったよ
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