ユートピア/うさぎのようにあなたは/茶殻
ない。
うさぎのようなあなたが安堵して眠る夜に、僕もうさぎのように十二時を跨ぐ、歯
も磨いたし、爪切りもしたし、毛繕いもした。野禽の飢えを掻いくぐる、何と言う
ことはない、禁猟区と決めたのは僕なんかよりずっとずっと偉い誰かだ。奴は今ご
ろシーソーに乗って演説の準備をしてる、幸福を叫ぶ、僕はこんなにも幸福だから、
君もそうなればいい。産まれる場所を間違ったとして、生きる場所に気付くまでは
うさぎのように眠るしかない。温かいスープを火にかけて、ミルクの匂いがわかる。
そういうものが僕たちを惑わしているなら、シーソーの反対に座って、うさぎのよ
うにぢっとしてればいいんじゃないか。誰も銃なんか持たない、頭の壁でずっとヤ
モリがひっついてる、求愛の踊りも忘れて、うさぎなんかどこにもいやしない。
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