南の挨拶/ズー
 
父と母が愛しあって
墓まで一緒なのか
私にはわからない
あいしあう、
響きだけで、どこか
あたたかな国で
糸や針を使い、あいと
しあうは繋がれて
いるのかしら
抜糸、される事はなく
ひとつになって
どこまで
一緒なのかしら

五つの頃から集めていた
私が振り回した
スノードームは
二つに裂けたりしないで
逆さまになった
ドームだと言われた
場所には
爪先から入国する
飛行船のように
階段に着席する
私のお尻のように
息も疎かな
ナマケモノのように
ゆっくりと固まった
新雪が溶けている
密かに伝わる
南の温度が
糸と針を持ち
縫い上げていく頃に

どこか、あたたかな国で
使われている挨拶を
父と母が知って
お互いに目が合う度に
声をかけるのなら
あい、しあう、でも
良いのかも知れない
それでもやっぱり
どこか、南で
使われている挨拶は
あいう、えお、だから
あいしあうは
ほどけないで
繋がれている
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