綾(あや)/yumekyo
 

両親が笑う
この国の役所は生かしもしなければ
適切に殺しもしてくれないのだから

年末には大掃除をして
年賀状の束をポストに投げ入れ
三が日には旧い友たちと会話を交わす
せんどぶりやのぉ
元気にしとんかぇ
嫁はんと子供はどないどぇ
仕事はらくなったんかぇ
ありふれたお正月
普通のお正月
そこに「まっとう」という言葉が敢えて付け加えられるべきか
膝小僧の古傷が痛い
そんな次元の事で
長いこと争ってきていて
勝手に生きづらくしてきていた

出会ってみたかったと心の中に思うことに
タッチの差で出会うことが出来ずに
予想もしていなかったことに遭遇して
窓際に手を置いてじっと見守る
織り成されている綾(あや)というものは
常に意思の外側にある
今 私が手にしているものが
決して「まっとう」と人が呼ばないものであっても
本来存在したはずの光のかわりに
今の光を手に入れているのだから
この綾を大切に仕舞っておきたい

新しい年が始まった
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