ウイルス・トリップ/藤鈴呼
 
っていたんだ、なんて
綺麗事ばかりは 言えやしないけれども
始まって しまったんです
そう 決めたのだから

安らぐ場所も 呼吸も 角度も
心持ちで 随分 変わる ものだとは
知って 居ました
いえ
何となく 知ったかぶりを してた自分に
頭を振って
歩き出すのです

泣いても始まらないから 笑うんじゃなくて
笑いたいから 口角を上げる
相乗効果で 付いてくる 安堵感だけを
ゆっくりと 信じて 歩くのです

一口の液体が こんなにも 冷たく
冷たい筈の水は こんなにも 温かく
染みこんで
降り注いで

心と身体の隙間を 埋めて いきます

★,。・
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