友だちって何だろう?/
 

長かった受験戦争
自宅の電話が突然鳴った
あいつは自分から不合格を知らせてきた
 今からそっち行くからさ
 良かったら要らなくなった参考書
 俺にくれない?
声を詰まらせながら 
ああ としか言えなかった
それからすぐにあいつが来た
玄関先で参考書を数冊手渡し
沈黙
あいつは明るかった
僕は暗かった
 他のとこもまわらなきゃ
足早に出ていくあいつの背中を
見つめていた



大学では
お互い下宿先が近く
同じ学部で同じコース
何だかんだで気の合った
あいつを僕はよく連れ出した
そのうちあいつが姿を見せなくなった
ある日 あいつが目を輝かせながら
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