1:4:9/虹村 凌
いながら
コンビニで買ったおでんとケーキを小さなテーブルの上に並べる
大きさの違う木のお椀を黄色い蛍光灯が照らし出す
あたたかい湯気のでるおでんを二人でわけて食べる
安い味がするケーキをプラスチックのスプーンでくずす
まるで絵本をひらいたような
そんなきれいで単純な幸せに
くすぐったくなって
目をそらして笑う
本当ならばいまごろ
泡だらけのバスタブの中でむかいあって
いろいろな話をしていたかも知れない
こんど生まれた時のことは約束できないし
死んだあとのことも約束できないから
いま生きているこの時間のなかで
いろいろな話を
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