咲ム/ねなぎ
 
抱えているものは
深く
そこはかとなく
花が揺れている

静かな水の底の
急な流れのように
黒曜石は削られ
砂になる

空の底の風に
小さく笑う幼子のように
声無き声を紡ぎて遊び
揺れる水さえ
止まって聞こえれば
とめどなく流れる音が
匂いを撒き散らし
溢れなびく様を
震えて見せる

抱えていても
ただ深く
理由を知らず
意味も無くす
ただ冷たく
終わりの花から
暴力が乱れ
波は壊れて
声もなくなる

砂を噛み
探すとしても
燻る煙で
浚われてしまい
抱えられずに
深く沈む

何時しか潰され散るように
砂に埋もれて
何も言えず
ただそこに
咲う

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