夏の公園/いてゆう
 
いて
じっと 動かず
長い長い魚を狙っていた
彼女は長い長い魚が好きだから
長い長い魚がたくさん泳いでいた
だから 分からないところで
絶えず伝説みたいなものが漏れ続けていて
いつまでたっても どうすることもできない

昼休み
ベンチでは
タバコを吸う人たちが 祈りのポーズで
天に 紫の煙を送り続けていた

いつもの
おじさんは
いつもの場所で
コンビニ弁当を食べていた
いつも 独り言で
「年金生活で どうヒマをつぶしたらいいのか わからん」
と 呟いていたが
だれも相手にしなかった

そして まれに
青いビニールテープの上
彼女はミニスカートでや
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