夢中無/
遠藤杏
わせている
わたしはあなたのあのにやついた顔を思い出して わたしにはあんな顔見覚えないと思った わたしの知っているあなたじゃないと思った
「大丈夫ですか?タクシー呼びましょうか?」
「大丈夫です。何でもないんです。」
わたしは立ち上がると 新宿という街に溶け込んで消えていった
あなたはその長い髪を振り乱しながらどこかに消えていった
面影を追いかけた
どこにも見あたらなかった
私はスカートを揺らしながらタクシーに手をあげた
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