胎動/細川ゆかり
 
こころがふるえず
それでも
息をしている

それは
一滴の涙も許さなくなり
やがてはそれさえも


見当たらないのは事象
ではなく
動かないのは現実
でもなく

閉じたりふさいだりこぼれたり
したのなら
もうじき
また触れるでしょう

それまで
ひそかにひそかに
息を続ければ

ふるえ
おののきはじめるでしょう
やがて
涙の一滴も流れるでしょう
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