ひとひらの雪/月乃助
ぎだらけの街に
偽りの雪が積もる
少し風のある 迷いの道
願い事を口にしては、女をさらいに行く
吐息を白く糾い
男の腕に眠るあなたを
覚醒させる装飾の言葉をさがしながら
夢ばかりがあなたの部屋の窓を鳴らす
粉雪ほどの粒子の顔をして
忘れることなどできはしない
抱きしめた気持ちは、胸に埋めたまま
苦労して笑い顔をつくるあなたを繰り返し
どんな真実が待っているのかと、
少しのあいだ訝っても
生ぬるい涙を流すことなど【 もうしない
無力をさらけだしては、
雪のひとひらに 願いをこめる
落ちてくるそのどれもに
灯をともしながら
想いを燃やしながら
それが、あなたを責めようとも
溶け去らぬ 雪の想い
白い道に残された 月の明かり
焼けた足跡
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