黄昏の比率 / ****'01/小野 一縷
 

そう
色濃い夜に浮かぶ月の鋭光に まじないの呟きをかざせば
その唇をなでるように寄り添う祈りの歌は
生まれたばかりの霧の冷たい柔らかさ

見ていた 
巻貝の望みごとを想いながら
子供達の為の死の行方の数々


知っている
カーテンは燃え尽きていたこと

悔いている
まじないごとを希望と呼んだこと
祈りを希望と信じたこと


見た
風船の行方
兵士の行進
子供の視線

くすんだ
巻貝の秘密に





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