消費者/yumekyo
 
 物を創る者が最も尊ばれ
練達した腕には神が宿ると違和感なく信じられてきた故か
今将に物の生まれんとする現場を車窓で受け流し続けることにより
後ろめたさが日々内面を侵食する
消費者に成り下がった現代の男女は
精米された米粒しか発想の起点に出来ずに
過程に立ち会えぬことへの後ろめたさを抑えることが出来ずに
完成の定義を云々することでお茶を濁しながら
内面の空隙を埋めていく

それは秋の始まりの頃
稲に生まれた内面の空隙と同じ性質のもの


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