狸と狐の尻尾/アラガイs
 

一幕

ブーツをひとつ無くしたら背中から刺すのね
裸足になればいつか崖から墜ちるのを待っていたんだろう
狸のお腹のように食べ過ぎて
堪えきれなくなるから依存するわたし
いまに肩がはずれて寒気がするのはわかっていたよ
(もう少し我慢すればいいのに‥)
世の中にも 自分自身にも 蜂の巣をいつまでも塞いではおけないからね
甘いのもはじめだけだから
やっぱり苦いのよ
甘酸っぱさに苦味が加わって
ゆっくりと変化の兆しが表れてきたら
もう手遅れね
みんな狂ってしまうのよ
涙も見せずに泣いているものだから
片足をもぎ取る気だろう
(自分の弱さを知らない‥)
わかってるさ
小さな傷痕も年をとれば伸びてきて
ただ
めんどくさいね
そろそろ目の前から消えてくれないかなんて
尻尾を隠す様に
そう思っているんだろう






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