21世紀戦争 ‥CHILD編/アラガイs
 


地下中央広場へと繋がる通路の淡白色ベクトルの光彩は、それが夕暮れ時だとは思いもつかないほど明るく輝いていた。
瞬きを繰り返しながら、直線に伸びた真っ白な通路をしばらく歩いていたら、同じく規定歩数に足りていないのか、軽快な服装に着替え酸素マスクを頭からすっぽり被った中年のサラリーマンたちが、重そうなリュックを肩に下げ「〜はぁ〜はぁ」と息をきらしては、 わたしを追い越して歩き去っていく 。
前だけを見つめ、ぎこちなく、前後に大きく手を振りながら、皆一応に長い影を引き連れて‥
そして吐き出された二酸化炭素の蒸気は、眩しい光りに吸収され、黄紫色に妖しく溶けあいながらわたしにある狡猾的な眩暈を覚えさせる 。
それは、まるで未知の領域に足を踏み込めと言わんばかりの危険な陶酔感で、光り輝く四角い闘技場のなかを、ただひたすら歩きまわる人たちを次々と殴打してゆく、蝿のような小さな執行官。
そして死の匂いのするこの地下街に、
子供達の姿は 皆無だった 。







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