「 マロニエ 」/月乃助
es in her cell phone / no superheroes
no lunch with nobody / no smile / no tears / no regret
仕舞いこんだ
ありふれた命題に悩まされては、
くり返す日々も
空虚のビルは
もう随分前から傾き始めて 少女は、
その上に立っていることなど 耐えることなどできはしなかった
落ちていく
ひとりになって
誰もが見ないようにして 見つめるなかを
その時
日常を消し去るヨロコビに
ほんの一時 シアワセになりながら
十二歳で死ななければならない
その理由を、路上の
マロニエの棘の実をひろうように手にすれば
はかない海鳥の鳴き声は
少女の 最後のつぶやき
ごめんなさいお父さん
ごめんなさいお母さん
ごめんなさいお兄ちゃん
ごめんなさい 私
いままで
ありがとうございました
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