Ending/yuko
 




空を切り裂いていく、あなたがよく左耳につけていたピアスのような形の舟までもが飲み込まれていく海に空に朝に夜に。こどもたちの隊列はよりいっそう長くうねり、その熱が海をぼこぼこと唸らせる。浮かんだ妊婦たちの放射状にのびた髪は色がぬけてまるで花のようで、僕の背中のアンテナは狂った電波ばかり受信してもう使い物になるのかもわからない。瓦解するせかいの音がこだまする、僕たちの終焉を抱いて。



あなたを越えて僕はここでさいごの生き物でありたかった。戦いを終えて着床したばかりの精子たちまでもがみな死んで、あらゆるが破水して羊水がせかいを埋めていく。そうだ、僕たちははじめからだれもゆるされてなどいない。そんなことははじめからわかっていたんだよ。目の端を彗星がよぎる。すべてが壊れて今、あなたの鼓動だけが耳に遠い。


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