「とりまる」/yumekyo
って
郷里に新快速がやってきたとき
みんなが色めき立った
ずっと以前に新幹線がやってきたときは知らないけど
比較してむしろ喜ばしいという声も間違いなくあった
今にして思えばそれは田舎の冬影色の鎧を脱ぎ捨てて
名実共に都会の仲間入りが出来たという喜びだったろう
かくて田舎の人間にとっては
神戸 大阪 キョウトも容易に描ける世界になった
同じ頃
赤 黄 青 緑のラインに僕が背伸びした駅は
乗り降りする人が少なくなって
駅員さえも居なくなった
25年たって
ひとりで出てきて
ひとりで住んでる
「とりまる」 否 「からすま」
一番先っぽのほうは
先っぽらしい ちょっとせせこましい場所
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