火の学会の着席順 清水武夫/鵜飼千代子
 
が一番大切です
ただし慣れると恐ろしいスピードの人も出る
それが楔のぬけた空転秀才病です
彼はアリストテレスがこう言ったとか
ヘーゲルがこう言ったとかいうだけで
鋏と糊で一生まだらな論文をつくる
地球にひび割れが入って
この巨大な物理像が傾いたって
一向さしつかえありませんから
どんなことがあっても
中心軸をしっかりつかんで
思い切りめいめいの風を起こしながら
ぶんぶんまわってごらんなさい
 (風がやみみんなの回転も無事に止まった
  白墨の粉だけは執念ぶかくしがみついて
  新しい先生を離そうとしなかった)



「空転秀才病」という言葉が光る。「空転」。
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