流れ/さつき
 
うのが良い。

夏は、日陰でこっそり一息ついて、汗を流した分のどを鳴らして麦茶を飲むのが良い。

そして秋は、風の香りと空の深さを感じながら、足下の枯れ葉の感触を楽しむのが良い。

冬眠直前の、生き物のぬくもりにも似た秋の香りは、素知らぬ顔で吹き抜けるけれど
青く永遠の遠い空と、甘くてちっぽけな金木犀とを混ぜ合わせてくれるから
空があまりに懐かしくて私たちは涙が溢れそうになるのだと、そう思った。

月はなくとも、地球のどこかに青空は広がり、この金木犀は流れていく。

戻る   Point(2)