流れ/さつき
うのが良い。
夏は、日陰でこっそり一息ついて、汗を流した分のどを鳴らして麦茶を飲むのが良い。
そして秋は、風の香りと空の深さを感じながら、足下の枯れ葉の感触を楽しむのが良い。
冬眠直前の、生き物のぬくもりにも似た秋の香りは、素知らぬ顔で吹き抜けるけれど
青く永遠の遠い空と、甘くてちっぽけな金木犀とを混ぜ合わせてくれるから
空があまりに懐かしくて私たちは涙が溢れそうになるのだと、そう思った。
月はなくとも、地球のどこかに青空は広がり、この金木犀は流れていく。
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