Cloudy,14℃/月乃助
それをためらうことなく、楽しむのです
含み笑いの
なんでもない小さな喜びに
昨日見た夢を思い出し
子供のような泣き顔になってしまわないように
黄葉の街をゆく
落ち始めた葉がまとった
雨の匂いに
寂れた街のくちびるが
知らない言葉を口ずさむ前に
帰る家を
誰もが求め 目指し
それでいて、この秋に触れないように
急ぐ 足音
気づけば
猫だけが、
舌打ちし
振り向き 少しばかりの
秋色の街で、
毒を舐めた
苦い顔をして今度は、
聞いたこともない安らかな歌を
歌い始めた
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