私たちの食卓/リンネ
 
男の磨かれた顔が私を覗いています。その顔に私の顔が映りこんでいました。私は紛れもなく、K子でした。
 とすればどうやら、泣いている赤ん坊が、もしかすると本当の私かもしれない。そうだとしても、それにだれが気がつくでしょうか? 私はまだ生まれてもいないのです。
 けれどそれがかえって、私を安心させたのかもしれません。私は穏やかに泣き止んで、眠りが一瞬のうちに、あたりを包みこんでいます。
 どこからともなく、家族の団欒が聞こえてきて、私はゆっくりと夢を見はじめていました。




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